和田圭三中尉は、空母配属の一航戦の戟闘第一六六飛行隊(戦一六六)の零戟隊小隊長で台湾沖航空戦勃発とともに航空母艦から降りて大分基地にあったが、沖縄の小禄基地に進出、その足で台湾沖の航空戦に参加し、一六日以前に台南に進出していた。 一九年一〇月一七日、和田中尉はこの地区に来襲したB29を遊撃するため、零戦六機を指揮して一〇時三二分台南基地を発進し、八分後に高雄上空に到達したところ、高度八千米で爆撃中のB29約三〇機を発見した。 和田隊は、直ちに高度をとり直協隊と協力して敵編隊を反復攻撃した。交戦中の列機が、B29の反撃で被弾したらしい隊長機から高雄の二七〇度二〇浬の海上に落下傘降下する人影を認め、戦闘が終った後捜索したがその消息は得られなかった。 |