南東方面に対する敵来攻が急迫したのでロ100型潜水艦も輸送に出動した。この時期、潜水艦配備の交代が行なわれイ号6潜（熊野武雄）、イ号38潜、m潜及びイ号177潜（有園勝）が一月一八日までに内地に帰り、新にイ号181M潜（細見弘明）、イ号171潜（荒木洋）、イ号糊潜（内山英一）、イ号185潜（門前宏）、イ号5潜（上田良和）、イ号36、41、180潜の各潜が進出して作戦に従事した。 荒木洋少尉の乗艦するイ号171漕が行方不明となった。そしてイ号181潜もラバウル出港の翌日行方不明となったが、細見弘明は転勤命令で出港当日退艦して九死に一生を得たと回想してくれた。 イ号177潜の艦長は島田武夫少佐で一九年一月一一〇日ごろラバウルに進出し、ブカ島への輸送作戦中の一月三一日、目的地の西方三〇浬、南緯五度三七分(東経一五四度一四分)において、グリーン島偵察の帰路であった米駆逐艦ゲスト号とハドソン号にたまたま遭遇し、その攻撃で最期を遂げていたのであるが、当時は詳細不明のまま三月一二日附で喪失と認められていた。 前年の五月「コ」島輸送中沈没した陽炎に乗艦して生還し、その後潜水学校を卒業して潜水艦乗りとなり、再びこの方面で作戦していた細見弘明が（私の乗艦イ号181潜は、「コ」島輸送、モノ島沖哨戒、ブカ、シオへの輸送に従事〉と回想するように、荒木洋少尉の凍艦も終始このような地味な作戦に従事していたのである。 父君は予備役海軍軍人、兄は機関科七十期コレスでイ号180潜に乗艦、三か月後の四月二七日アリューシャン・コジャック沖で沈没戦死している。 |